イギリスにおける弁理士というものが国の特色を受けてスペシャリストとして活動するのは、もはやお国柄ということになります。弁理士といっても日本以外の国ではそれぞれ役職としては同一ではあるものの、担当することになる業務内容は異なってくるという点については調べることで関心がつきませんね。そんな思いの下で次の国へと行きましょう。イギリスときたら、やはりフランスでしょう。どういうことですかと聞かれそうですが、そこはあえて聞かないでおいていただきたいです。取り合えず、フランスにおける特許を専門的に取扱うことになる弁理士について話をしていきましょう。
何気なく弁理士という言葉を使用していますが、フランスにおいては弁理士という言葉で表現はせずに『工業所有権代理人』と名称付けられています。商業関係に関することだからなのかどうか、その由来については色々とありますがとにかくフランスでは工業所有権代理人というのが弁理士となっています。少しややこしいですが、フランス流に乗っ取って工業所有権代理人と紹介を続けていきましょう。
まず特徴とすべきなのはフランスにおいて、工業所有権代理人や弁護士として活動することは資格を持っている人だけと限定しており、資格を有していない人間は基本的に代理人業務を行なってはいけないことになっています。この制度に関しては元々ではなく、1990年代から施行されたという歴史の浅いエピソードがあります。それまでは誰でも彼でも問答無用で代理人業務を行なえていたということです、恐ろしい話です。さすがにそれではまずいと判断した政府によって日本で言うところの独占業務として認定されたわけですが、正しい判断だったといえるでしょう。資格を持っていない人に任せるのは発明家としても不安で仕方ないですし、下手をしたらそのまま自分の発明を奪われてしまうなんてトラブルも実際にそれまで起こっていたかもしれません。
弁護士でも特許出願までは行えることには行えますが、その先においての手続に関しては専門的に取扱っていない限りは二の足を踏んでしまうそうなので、やはりフランスにおいても特許を出願する際には工業所有権代理人に依頼した方が安全ということになります。
フランスにおける工業所有権代理人としての業務ですが、基本的にはフランス工業所有権長への手続代理、並びに文章作成や工業所有権に関する相談や第三者の代理などと広い範囲での業務を認められています。でもぶっちゃけ広すぎですよね、そういうこともあってか代理人といってもそこから更に細かく細分化されていたりします。
工業所有権代理人として統一するのではなく、更にそこから上記のような二つの専門的分野に関して精通している専門家を生み出すような対策も試みられています。広すぎて全般的に業務を行なうとなったら相当負担になってしまうというのが本音のように思えますが、まぁその辺については気にしないでおきましょう。
細分化された場合、どちらも別々に資格を用意されているので専門的に活動することの出来るスペシャリストを育成しているように見えますが、フランスの代理人状況においてどちらか片方では仕事として成り立たないためなのか、両方の資格を取得することが基本となっているそうです。イギリスとはまた違うのは、それはフランスにおける代理人の国内人口にも影響しています。それぞれの資格取得者の合計人数を足しても僅か500人前後しか存在しないという状況なのです。フランス全土として考えたら、明らかに少ないのは確かでしょう。実は人手不足なのかもしれませんね。こちらに関してはどうにもこうにも解決するには、問題の根底にある何かを解消する必要がありそうですね。今後の状況次第によってはこの人数的な問題も解決する日も来るかもしれませんしね。
そんなフランスにおける工業所有権代理人として資格を取得するとなると、必然的にそれぞれ独立した試験を両方受けなくてはいけないことになります。現在のフランスにおける特許業界という枠で考えると就職先については不透明な部分もありますが、今後の発展という意味では増える可能性もありますし、また貴重な専門家として重宝される可能性もあるのではとも思えますから資格を取得すればもしかしたら、ということもあるでしょう。でもあくまで夢物語として見ていたほうが良いでしょうね。
ではそんなフランスにおける代理人試験を受験するために必要な、受験資格についてですがそれぞれにおいて資格は異なっています。
上記のような資格がそれぞれの受験に必要となっています。これを見ると正式に代理人として活動することになるとしたら長い年月を掛けなくてはいけない可能性もあるかもしれません。学士については日本で言うところの大学卒業レベル程度となっているのでどうにかなりますが、実務については両方を同じ時期に併用して行うというのは現実味がありませんね。研修にしてもそうです、それぞれを専門的に学んでから資格を取得するとなったら最低でも8年くらいの時間を要することになってしまいます。これはさすがに長すぎですね、しかも試験に必ず受かるという保証もありませんから、そう考えるとわざわざ取得して一人前に業務に励むことのできるようになるまで10年以上の歳月をかけなくてはいけない茨の道では、誰も好んで歩みたくはありませんね。これでは資格を二つに差分化しても何の意味もないと思うのですが、色々と事情があるのかもしれませんね。
イギリスのようにきちんとそれぞれの資格にしかできない仕事という定義を設けないことには、フランスのこうした代理人状況を改善することは出来ないかもしれませんね。
私達が普段暮らしている世界で聞いたことのない職業はごまんと存在しています。その中で今回は『弁理士』という職業について、紹介をしていきたいと思います。